2015年01月27日

STAR!!とBirth of Color(LTH07感想)

ミリオンライブ のアルバムシリーズLIVE THE@TRE HARMONYは以前の記事にも書きましたが非常に意欲的な楽曲が納められており、バンナム内製によるコロムビア曲とはひと味違う楽曲が楽しめます。このほど発売された最新アルバム07と08もコンセプチャルで非常に聴き応えのある内容。この記事は07についての感想なのですが、特にユニット曲Birth of Colorについては字数をさいて紹介する次第。
STAR!!とBirth of Color
今期から始まったアニメシンデレラガールズの主題歌STAR!!はMONACAの田中氏による作曲なので厳密にはバンナム内製ではないのですが神前氏の影響が色濃く「HELLO!!」によく似ています。実際オーダーもこの線だったんだろうなとOP映像を見れば容易に推察できます。


Star!!の特筆すべき点はそのメロディで、一歩も違えれば歌いづらいギクシャクしたものになるところのぎりぎりのラインにあるところでしょうか。この辺についてはこちらの記事に詳しく説明されています。
ざっき。ハナエ2ndアルバムと、田中秀和「Star!!」について
本田未央の演者である原さんが「楽しい曲のハズなのにどこか泣きたくなる」という感想はこうしたコード進行によるものだと思いますし、いわゆるアイマスアンセム曲はこうした複雑な「コード」が核なのでしょう。

対して今回紹介するBirth of Color(以下BoC)はランティスらしい、流れるようなメロディです。JPOPが背景にありキャッチーで覚えやすいメロディは、STAR!!とは全く違うものだと一聴にして分かると思いますが(あ、でもサビの"叶えてゆける"から"ちっぽけでタフネスな"へ繋がる所で何かやってるっぽい)、STAR!!にも劣らない多幸感を感じる事と思います。
この秘密はドラムのリズムパターンにあります。その構成は以下の通り
Aメロ1(真)落ち(バスドラのみ)
Aメロ2(あずさ)8ビート
Bメロ(可奈、歩)マーチ風ドラムロール
Bメロ(雪歩)8ビート
サビ  4打ち
STAR!!と比べてみましょう。
Aメロ1(〜自分にエール)落ち(バスドラのみ)
Aメロ2(〜ファンファーレみたいに)8ビート
Bメロ(〜魔法の靴に)いわゆるPPPH
サビ 8ビート
Aメロ1の落ちから2の8ビートへは同じです。が、BメロはSTAR!!が今までのアイマスアンセム曲であれば漏れなく使われているPPPHに対し、BoCはドラムロールになっています。

Bメロの貯めにこのドラムロールを持ってくるのが非常に面白く、まるで真達が足踏みをしている感じです。文学的な解釈をすればAメロ1のバスドラが予感に高鳴る心臓の鼓動、実際に走り出したAメロ2。Bメロは困難にぶつかって足踏みという所でしょうか。
そしてサビ。ここもSTAR!!はアンセム曲を踏襲して8ビートですが、BoCはスネア4打ちです。このスネア4打ち。READY!!でも最後の最後の大サビの盛り上がりで使われている程の、力強さを感じさせるパターンです。

2分30秒辺りから聞けます
それをいきなりサビで投入してくるのだから盛り上がらないハズがない。さらに「かな//て//け/」の所が顕著ですが、歌メロに合わせてクラッシュシンバルをいれています。これはREADY!!にも無いもので、このリズムによる歌メロへのバックアップがBoCに圧倒的な力強さを感じる理由と思います。足踏みの後また走り出すには8ビートでは軽すぎる、より力強く足を踏み出す、そんな感じ。
このストーリー感のあるリズムパターンは、ララブライブ曲「Snow Halation」でも聞けます。コロムビアが「コード」ならランティスは「ドラム」なのかもしれません。


あと2番のAメロは可奈と歩なのですが、ここが何故か木戸ちゃんと戸田さんの地声に聞こえる。少なくとも可奈と歩の声じゃなくて妙に生々しくゾクゾクしました。ある意味ここが最大の聞き所かも。
以下個別曲に対する感想となります。
↓つづく
posted by tlo at 18:38 | TrackBack(0) | 日記

2015年01月22日

薄紅デイトリッパーのJPOPにおける位置づけ

#実はこの前の記事の続きです。ミリオンライブ楽曲の制作を担当しているランティスという会社の背景であるJPOPについて個人的に整理するための記事です


薄紅デイトリッパーという楽曲は、先年末に発表されたアイカツ最新曲。2015年第三弾としてのアーケードゲームでのリリースも始まっています。この曲については精細に分析した記事があります。この記事における「音頭」という主張はともかく、この楽曲がいいとこ取りのキメラであるという指摘はその通りだろうと思います。そしてこのようなキメラが成り立つ背景には明治の文明開化以来、西洋音楽の受容の努力を続けてきた日本音楽の歴史背景があります。

日本大衆音楽の歴史
こちらの歴史を俯瞰した記事によれば、その始まりは大正時代に遡ります。抜粋して訳してみましょう。
「日本の大衆音楽は、演歌とポップスに分かれる前は流行歌と呼ばれ、明治時代をその源流に持つが、日本の研究者はその始まりを、ジャンルとして国中に広く認知された大正時代であると考えている。大正時代に至り、明治時代に輸入された西洋音楽の技法や楽器が広く使われ始めた。ジャズやブルースなどの西洋音楽のジャンルに影響され、流行歌の演奏にはバイオリンやハーモニカ、ギターなどが編成された。だがしかし、そのメロディーはしばしば日本の伝統的な五音音階で書かれていた」
教科書の音楽史では滝廉太郎や山田耕筰の名前を挙げて、日本における西洋音楽の受容は完成を見た的な記述をするのですが、大衆音楽はその後も西洋の最新ジャンルの受容を続けていきます。
例えば歌謡曲。今でこそ昭和を代表する古い音楽ですが、その端緒はオペラやドイツリートの歌手による、クラシックに強い影響を受けた当時としては最新の「歌曲」でした。歌謡曲がメロディーライン偏重になるのはこうした由来のためでもあります。
一方で西洋音楽のリズムの受容は大正時代に輸入されたジャズがあったものの、太平洋戦争による中断を余儀なくされます。戦後は進駐軍に聞かせたジャズ、ブギウギやマンボ。プレスリーの出現から始まるロカビリーブーム。ビートルズ影響を受けたグループサウンズ、と次々新しい潮流が生まれ、8ビートが受容されていきます。
その後も70年代のフォークソング、ニューミュージック、80年代前半テクノサウンド、80年代後半のバンドブームを経て、90年代のいわゆるJPOPに至ります。JPOPは流通側からの、従来の大衆音楽の主流であった歌謡曲との便宜的な分類ですが、リズムを受容した日本の大衆音楽ともいえ、今現在もHIOHOPやクラブサウンドの成果を食みつつその内実は変化しています。

↓つづく
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2015年01月12日

アニメシンデレラガールズもう一つの楽しみ方

錦織氏が監督したアニメアイドルマスターも構図や演出が非常に凝っていて、画を読み解くのが楽しい作品でした。そして高雄氏が初監督を勤めるアニメシンデレラガールズも非常に面白い事をしている様子です。ここで様子ですというのは、一見して丁寧だという事がわかるこの第1話があまりに計算され尽くされているのでデコードしきれない為です。そうです全編において画に意図がある「はず」です。
切り口は多いと思いますがとりあえず、プロデューサーとアイドルの立ち位置から読み取ることにしてみましょう。尚、今回の記事はツイッター上でのガラクタ氏とのやりとりを元にしています。


まずは凜とPの出会いです。交番で事情徴収を受けた後のやりとり
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Pが右から、左にいる凜に名刺を渡そうとしますが拒否されて凜は右に去って行きます。ここで注意したいのは右左の立ち位置に、単純にトミノ式を当てはめる事は出来ないと言うことです。これは卯月とPが対話するこのカットが分かりやすいと思います。
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トミノ式では画面右の上手にその場面での強者、画面左の下手に弱者という役割でもって立ち位置を割り当てます。ですがこの場面は確かに卯月が主導権をもってPに質問していきますが、劇中での力関係を描く場面ではありません。すこし視点を変えて二人のいる部屋の間取りを見てみましょう。
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Pは下座である入り口側のソファーにいる事が分かります。一般的な社会常識に照らせば、上座に座るのは来客であるPの筈です。卯月が知らなかった事も考えられますが、むしろ席を勧められたPが自ら下座に座った事が想像出来、彼の人となりが窺えます。
そのような人物を「弱者側」の画面左に置くというのは、Pというキャラクタの性格を示しているのではと解釈が出来ます。つまり高雄式があるとするなら、それは劇ではなくキャラクタに寄り添うレイアウトではないかと思うのです。

この後もP-アイドルという立ち位置は続きます。
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遠慮がちに凜の左側に立つPですが、トミノ式では人は自分の左側に誰かが立たれると脅かされるように感じるとあります。事実Pは凜の左側に立ちスカウトに失敗し続けます。凜が画面右側に立ち去るのも交番後のカットのリフレインです。
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わざわざ観葉植物のある狭い方の席に座るP。左側です。
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卯月が見ていたであろうシンデレラプロジェクトのカタログをちらちと見て、待たせてしまっている彼女の心中を慮り深々と卯月に詫びるP。表情にこそ出ませんが、彼には想像力があり、人を思いやれる性格である事が分かります。左側です。

ニコ生で凜の演者である福原氏が「凜に傷つけられて、卯月に癒やされる」という称した、同ポジ反復のシークエンスは事態が進んでいない事をレイアウトで示す同時に、尺を費やすことで視聴者にも経っていく時間を体感させる演出です。そして物語は、卯月と凜が会うことでようやく進みます。
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凜が左、卯月が右です。
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自分の夢を語る卯月。
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それに聞き入る凜。

そして
↓つづく
posted by tlo at 06:55 | TrackBack(0) | 日記