2015年02月27日

Who cast a spell? 〜アニメ アイドルマスター シンデレラガールズ7話感想(後半)

前半の続きです

走るプロデューサー
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走り出すプロデューサー。その方向は原則通りのポジティブな左←右です。ですが、この方向には原則以上の意味があるのではと思っています。Pの現状として説明したカットに、画面左側には大きな空間がありました。そしてその空間というのは失敗した過去ではないかと述べました。だから、そちらに向かって駆け出すのは、過去から今を取り戻す為の行為ではないかと思うのです。
車輪になるという選択こそが過去へのこだわりだと先に述べました。それは埋み火のごとく彼の心に燻っていたに違いありません。未央との行き違いによって再び燃え上がった悔悟の念は、卯月が未来を指し示した事により、彼を疾駆させる力になったように感じます。やり直すことは出来ない。だけど繰り返すわけには行かない。彼にとって未央と凜を連れ戻す事は、すなわち己を取り戻す事になったと思うのです。

プロデューサーと未央
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成り行きとは言えプロデューサーは未央と同じ空間にようやく立ちます。Pは右、未央は左。未央は背を向けているものの、去って行くアイドル達の構図とは逆で、卯月や凜と同様に未央も過去の少女達とはやはり違うのです。
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立ち去ろうとする未央に追いすがるP。その一歩の靴音にはエコーがつけられ重要なものである事が強調されています。Cパートの凜未央卯月の3人の第一歩と、この一歩は意味合いとして全く同じ、再生の為の第一歩です。
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未央の隣に立つP。今までに比べればずいぶんと近い位置に立っていますが、互いに目を合わせてはいません。
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Pは未央と同じ目線になって、未央と同じものを見るためにしゃがみ、写真を指し示します。卯月がしたように、彼は未央とコミュニケーションをとろうとしています。
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「私はこのままあなた達を失うわけには行きません」
この言葉は自分の思いの吐露でしかなく、そこに未央の都合はありません。ですがインターホン越しのアレとは全く質が異なります。リーダー失格だと泣く未央に、Pはプロデューサー失格だと己を呪った自分を重ね合わせているのではないでしょうか。この言葉が説得力をもったのは、これがPの想いでもあり未央の想いでもあった為だと思うのです。
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広い空間。2人は狭い空間で仕方なく距離を縮めたのではなく、自らの意思でそうしています。画面センターとなる自動ドアの桟を見れば、Pが未央によりに近づいている事も分かります。

↓つづく
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Who cast a spell? 〜アニメ アイドルマスター シンデレラガールズ7話感想(前半)

アニメアイドルマスターシンデレラガールズ7話は高雄監督の絵コンテ回でした。1話をリフレインをしているのは両話を見比べると分かるのですが、すべてが同じという訳ではありません。その非対称の部分を比較しつつ、もう一つ7話で大事だったと思う「動きの方向」についても注目してみたいと思います。

動きの方向について
上手下手への動きにはその立ち位置と同様の意味があります。詳しくは以下のブログ記事にあるとおりです。
ゲームの右と左 マリオはなぜ右を向いているのか
高雄監督も画面左である下手への動きと画面右である上手への動きにも明確に意味づけを行っているように思われます。7話冒頭のイメージカットと、7話エンディング後のCパートのカットを比べてみます。
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Pの元を去って行くシンデレラ達。上手に向かって走り去ります。これは1話で凜に最初に声をかけてすげなくされたカットと同じ方向です。
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未央、凜、卯月が改めて第一歩を踏む。下手に向かっています。
このように、高雄監督は左→右の動きはネガティブに、左←右動きはポジティブに捉えているようです。このことを踏まえ、7話の「感想」を述べたいと思います。

未央とプロデューサー
まず未央とプロデューサーの置かれている状況を端的に表しているカットを二つ。
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画面右側に去ろうとしているPを画面右側に置き、距離を置いて画面左側に凜と卯月を置いています。人物の背後にある空間は、その人物が背負っているものを暗示させます。アニメアイドルマスター劇場版で春香が「私は天海春香だから」と言ったあのシーンも不自然なまでの空間が背後にありました。Pの背後に今あるのはかつての失敗であり、凜や卯月に全く目が向いてない事がこの1枚で分かります。
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テーブルの下からのぞき込むような構図。下はベッド、上はテーブル、左は本箱、右はクッション。開いているのはカーテンが半ば閉じられた窓だけ。客観的に見れば成功だったミニライブを失敗としか捉えられない未央の、にっちもさっちも行かない状況が分かります。

このようにこの2人はお互いどころか、現状さえ全く目に入っていません。そんな2人が合えばどうなるか。
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画面右を向いて左側に開く膨大な空間。2人とも同じ方向を向いて、構図上でさえ向かい合っていません。インターホンに向かって互いの主張を繰り返すだけでコミュニケーション以前の問題です。

凜とプロデューサー
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このカットは1話のリフレインになっています。初めて凜がプロデューサーとまともに話をした時は2人の距離は縮んでいました。違うのは凜が立っていること。動こうとしないPに不信感を抱いた凜が距離を置いています。
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画面右側に立つ凜が画面左側にいるPを糾弾し、ついには画面右上から見下ろし、Pを画面左下追いやってしまいます。1話について書いた記事で、シンデレラガールズにトミノ式は当てはまらないと書きましたが、このシークエンスに限り当てはまってしまいます。凜はコンスコン隊のリックドム12機を無双しそうな勢いです。対決もコミュニケーションの一つとはいえ、ここまで一方的ではコミュニケーションとはほど遠い言わざるを得ません。
逆に言えば、年端もいかない少女にここまで追い込まれてしまうほどに、彼の問題は深刻であるという事だと思います。部長がメンバー達に語って聞かせたように、彼は過去に何人かのアイドルに去られています。その後、そのプロジェクトがどうなったのかについては語られていませんが、彼が担当から外れているのは確かです。
彼を担当から「外した」上司にしてみれば、ドライに言えばリソースの再配分、ウェットに言えば彼の回復と成長を待つ時間を作ったに過ぎず、そこに懲罰的意味は無かったはずです。事実彼はシンデレラプロジェクトを任されているのですから。
ですが担当を「外された」Pはそれをどう受け取ったか。自分のミスにより仕事を外された時、ある人はキャリアが傷ついたと思い、将来に不安を覚えるかも知れません。ある人はプライドが傷つけられたと感じ、恥をかいたと怒りを覚えるかもしれません。そして実直だというこのプロデューサーは、少女達のプロデューサーとして責任を全うできなかった不甲斐なさに、己を呪ったのではないでしょうか。自らを車輪と規定するそのあり方こそが、彼が過去にとらわれていることの現れであるなら、未央との一件がなくとも、破綻はいずれ訪れていたと私は考えます。
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去って行く凜。ここで凜が画面右では無く、左に向かうのは上記した原則から見ると不思議でした。ただ、1話のリフレインである凜の私室のシーンでこの方向の理由は想像できます。

凜はまだPを見限った訳では無いのです。だから彼から離れていったアイドルと同じ方向に行かせる訳にはいかなかったのだと思います。

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凜が去って行く直前にあるこのカットには、凜が去って行く姿は描かれていません。効果音だけです。このカットはあくまでPの心象であり、凜はまだ彼を信じたいと思っているのです。
↓つづく
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2015年02月04日

アイドルxEDMーあるいはオフボーカルの勧め

シンデレラガールズのシングルシリーズTHE iDOLM@STER CINDERELLA MASTERの新譜がこのほど発売されました。このシリーズの特徴であるバラエティに富んだ楽曲は新譜でも健在。中でも速水奏の"Hotel Moonside"は視聴が公開された直後から衝撃を持って迎えられました。曰く「アイマスにEDMが来た」「アイマス meets EDM」等々。

このEDMという音楽ジャンル。この記事を読むと分かるのですが

・四つ打ち、四つ打ちを使う。
・四つ打ちでね、なんかね、ボーカルが乗ってるの。歌うの。
・なんかね、CMとかで聴いたことがあるはず。
・よくさ、レイブとかでかかるかもしんないって感じ。
    (⌒⌒⌒)
     ||
    , ‐、 ,- 、
   ノ ァ'´⌒ヽ ,
  ((iミ//illi)))  < 絶対こんな説明じゃわかんないよ!
   ) ⊂リ・ω・ノ(
  ´ /    ∪
   し'⌒ J |l| | ペシッ!!
        ・゚・。゚・ 。 ゚
       )⊂二⊃(
       ⌒)   (⌒
        ⌒Y⌒

と、非常にふわっとした定義で、むしろディスコとかクラブとか使用されるシチュエーションから定義される音楽と考えた方が良さそうです。ともあれ、聞けば分かると記事に書かれている事は事実で、実に乗りの良いキャッチーな音楽。Hotel MoonsideもEDMであることが了解されると思います。
ただし、これはバンナム内製曲。当然ただのEDMである訳が無い。早速、他のアイドルEDM曲と聞き比べてみましょう。

↓つづく
posted by tlo at 15:17 | TrackBack(0) | 日記