2015年04月13日

10cmの背伸び 〜アニメ アイドルマスター シンデレラガールズ 13話感想 前半

13話についてはあれこれ書く事は無いと思ったのですが、13話の記事が無いのも収まりが悪く。なので、4/4にあったアイドルマスターミリオンライブの2ndライブ初日の感想を絡めて13話の感想書いたのがこの記事となります。なぜミリオンの2ndが絡むのかは、最後までお読み頂ければと...

・新田さんのつまづき
フェス当日に新田さんが倒れます。リーダーに選ばれて張り切っていた彼女は、不安を忙しさでごまかそうとしていました。
13-a1.png
13-a2.png13-a3.png

13-a4'.png
「違います。私も夜遅くまで練習したりしていたので」
悪いのは自分と、負担をかけたというPの言葉を即座に否定する新田さん。この言葉はPに対する気遣い以上の彼女の性格の根幹に根ざすものでした。

13-a4.png
悪いのは自分。ならば、行いに対する結果を受けるのも自分。それでも諦めきれない感情と、理性との葛藤。ここで無理をすればステージを壊しかねない状況に、彼女は自分の行動に対する責任を取ります。彼女は、潔癖なのです。

13-a5.png
「私が出られないのは自分の所為です。ですが、アーニャちゃんは…!」
その潔癖さは、このセリフに端的です。自分は責任を取ったけど、アーニャには何の責任も無い。だからアーニャが巻き込まれることに、その潔癖さ故に新田さんは耐えられません。新田さんはPに懇願します。

13-a6.png
「私たちにはPの用意してくれた曲と素敵な衣装しか無い」
この5話のセリフも、望外な幸運をそのまま受け止められない彼女の潔癖さ故のものだったと思えます。たとえ自分に都合の良いものでも、自分の行動に伴わない結果に、彼女は不安を覚えたのかもしれません。その不安はアーニャと共有され、ラブライカというユニットは良い方に進んでいきました。が、リーダーになったのは自らの行動の結果であり、その責任感故に、新田さんはすべて自分だけで事を進めようとしていました。アーニャとどうしてきたかという事を忘れて。よかれと思ってしたことが裏返るアニデレ世界の罠に彼女もはまります。

11-6-1.png
本論からはそれますが、みくも自分に納得のいかない事は、たとえ自分に都合の良いことでも叩き返す性分です。*はラブライカの対比と以前記事に書きましたが、似ているところもあるのかなと。

・NGのつまづき
これまでも何度も出てきた、良かったはずのことがかえって徒となるシチュエーション。むろん作劇の為のアクシデントと言えばそこまでですが、ライターの都合だけで話を進めている訳では無いのは10話のシナリオで検証済みです。ここまで執拗に描かれたシチュエーションであるなら、そこにはライターの意図以上の、作品のメッセージがあるに違いありません。

13-a7.png
NGのつまづきは3話での経験を、勘違いしてしまった為でした。未央はライブの成功をファンの動員数であると思い込み、まだ右も左も分からない凜もライブとはそういうものだと思い込みました。彼女達のデビューライブは、客観的には大きな失敗も無く、まず成功という部類でした。ですが動員数でしか判断が出来ない未央には失敗としか映りません。

13-a9.png
そもそも、美嘉のステージに上げてもらえたのは幸運の賜物でした。もちろんその後のダンスレッスンで苦労はするのですが、彼女達はあくまでバックダンサーとして採用されたのであり、3話も途中までは彼女達の不安を置き去りに粛々と進行していく舞台裏が描かれています。

13-a8.png
「運も実力のうち」
6話まで何度か口にしていた未央の言葉。彼女達のつまづきは、勘違いに対する懲罰なのでしょうか? 
9話で智絵里が倒れたことも、10話で凸の3人がPとはぐれた事も、12話で蘭子が全体曲で苦心した事も、懲罰なのでしょうか?

・木戸伊吹のつまづき
ここで冒頭に紹介したミリオンライブの話になります。木戸さんはミリオンライブに登場するアイドル矢吹加奈のCVを担当している声優です。ミリオンライブには春香たち765ASを含めて50人のアイドルが登場しており、ゲームのローンチ時点では、矢吹加奈はその中の1人に過ぎませんでした。アニデレでのNGに当たる中心的なアイドル3人でもなかった可奈。そんな彼女が劇場版アイドルマスターで、重要な助演に抜擢されます。

kana13.jpg
可奈に声を当てる木戸さんは、80年代アイドル黄金期を支えた業界大手ホリプロによる声優プロジェクトのオーデションをくぐり抜け、グランプリさえ逃したもののその才能を見いだされホリプロから声がかかったいわば、シンデレラガールです。既に深夜アニメで主演を経験したこともあり、この抜擢にも迫真の演技で応え、映画のシリアスな描写に厚みを加えました。


ですが映画成功の余勢を駆って開催されたさいたまスーパーアリーナのライブで、彼女はつまづきます。定期ライブの経験はあったものの、日本でも指折りの大規模な会場でのライブは初めて。アイドルマスターというコンテンツとしてもアリーナは初めて。節目となる記念ライブという位置づけ2万を超える観衆が集まりました。その前で、彼女はソロのアクトで出だしから感極まり、涙でまともに歌えなくなってしまったのです。
アイドルはそんな初々しさを楽しむコンテンツという一面もあります。観客が見守る中、彼女は後半どうにか立て直すのですが、その後のインタビュー等ではそのようなアクトをしてしまった忸怩たる思いが漏れ伝わってきます。
さいたまスーパーアリーナという大舞台は、木戸伊吹にとって懲罰だったのでしょうか?

・階段を昇るという事
もちろん、そんなこと考える人はいないでしょう。彼女が声優としてどのようなキャリアを積もうと考えているのか、そこまでは分かりません。ですがアリーナの舞台は、彼女が声優として昇っている階段の、あまりに大きな段差であったと思います。
4/4に行われたミリオンライブ2ndでの彼女は、控えめに言ってもアリーナとは別人に見えました。オープニングの全体曲のThank You!で一瞬アップで抜かれたある1人の演者の目力に「これほどのビジュアルを作れる人は雨宮天さんしかいないだろう」と、私などは勘違いしてしまった程です。
このライブに先立って行われた劇場版アイドルマスターの打ち上げイベントで、彼女は「もう泣かない」と宣言していました。その宣言もあり彼女のアクトを楽しみにしていたのですが、そこにいたのは「役柄上たまたま舞台に上がった声優」ではなく「アイドル木戸伊吹」でした。彼女はステージに昇る事の意義を、彼女なりに自分のものとして獲得したのだと私は思いました。

↓つづく
posted by tlo at 22:46| 日記