2015年01月12日

アニメシンデレラガールズもう一つの楽しみ方

錦織氏が監督したアニメアイドルマスターも構図や演出が非常に凝っていて、画を読み解くのが楽しい作品でした。そして高雄氏が初監督を勤めるアニメシンデレラガールズも非常に面白い事をしている様子です。ここで様子ですというのは、一見して丁寧だという事がわかるこの第1話があまりに計算され尽くされているのでデコードしきれない為です。そうです全編において画に意図がある「はず」です。
切り口は多いと思いますがとりあえず、プロデューサーとアイドルの立ち位置から読み取ることにしてみましょう。尚、今回の記事はツイッター上でのガラクタ氏とのやりとりを元にしています。


まずは凜とPの出会いです。交番で事情徴収を受けた後のやりとり
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Pが右から、左にいる凜に名刺を渡そうとしますが拒否されて凜は右に去って行きます。ここで注意したいのは右左の立ち位置に、単純にトミノ式を当てはめる事は出来ないと言うことです。これは卯月とPが対話するこのカットが分かりやすいと思います。
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トミノ式では画面右の上手にその場面での強者、画面左の下手に弱者という役割でもって立ち位置を割り当てます。ですがこの場面は確かに卯月が主導権をもってPに質問していきますが、劇中での力関係を描く場面ではありません。すこし視点を変えて二人のいる部屋の間取りを見てみましょう。
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Pは下座である入り口側のソファーにいる事が分かります。一般的な社会常識に照らせば、上座に座るのは来客であるPの筈です。卯月が知らなかった事も考えられますが、むしろ席を勧められたPが自ら下座に座った事が想像出来、彼の人となりが窺えます。
そのような人物を「弱者側」の画面左に置くというのは、Pというキャラクタの性格を示しているのではと解釈が出来ます。つまり高雄式があるとするなら、それは劇ではなくキャラクタに寄り添うレイアウトではないかと思うのです。

この後もP-アイドルという立ち位置は続きます。
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遠慮がちに凜の左側に立つPですが、トミノ式では人は自分の左側に誰かが立たれると脅かされるように感じるとあります。事実Pは凜の左側に立ちスカウトに失敗し続けます。凜が画面右側に立ち去るのも交番後のカットのリフレインです。
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わざわざ観葉植物のある狭い方の席に座るP。左側です。
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卯月が見ていたであろうシンデレラプロジェクトのカタログをちらちと見て、待たせてしまっている彼女の心中を慮り深々と卯月に詫びるP。表情にこそ出ませんが、彼には想像力があり、人を思いやれる性格である事が分かります。左側です。

ニコ生で凜の演者である福原氏が「凜に傷つけられて、卯月に癒やされる」という称した、同ポジ反復のシークエンスは事態が進んでいない事をレイアウトで示す同時に、尺を費やすことで視聴者にも経っていく時間を体感させる演出です。そして物語は、卯月と凜が会うことでようやく進みます。
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凜が左、卯月が右です。
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自分の夢を語る卯月。
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それに聞き入る凜。

そして

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画面中央にこの表情。画面中央クローズアップを極力避けて来たのは、卯月のこの笑顔をより魅力的に見せ、凜が心を動かされる事を説得力を持って示す、ドラマの最大の山場を作る為です。光と陰のコントラストも効いています。

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そしてPもようやく凜の右側に立ちます。

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「少しでも、キミが夢中になれる何かを探しているのなら、一度踏み込んでみませんか?」

遠慮がちに常に左側に立ち同じセリフを繰り返すばかりだったPが、ようやくスカウトらしいセリフを口にします。セリフ前、何かを言いかけて口をつぐむその逡巡は、言葉を選ぶというよりは躊躇いの方を感じてしまいます。もしかしたら、彼自身もこの台詞を言うには踏み込む必要があったかも知れません。Pが右に立っている訳。それは全体の構成というのが一番大きいのではありますが、彼自身に踏み込ませるために高雄監督が立たせてあげたという風に解釈したくなるのです。

以上は私なりの解釈で、他にも分析はあると思います。ただ、解釈はともかく事実としてここまで立ち位置にこだわっている以上、高雄監督や演出陣に意図があることは明白でいずれ「正解」が何らかの冊子で語られると思います。非常に楽しみです。
posted by tlo at 06:55 | TrackBack(0) | 日記
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