2015年03月30日

48時間 〜アニメ アイドルマスター シンデレラガールズ 11話考察

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11話の面白さはバディフィルムの面白さでもあったと思います。バディフィルムの定義はwikiによれば「対照的な性格の同性の2人を突き合わせるジャンル映画。2人は誤解し合いながらも、劇中のイベントを通し友情育み、互いを尊重し合うようになっていく」とあります。リンクしたwikiにはバディフィルムの例として映画48時間を挙げていますが、この記事を読まれる方にはアニメタイガー&バニーの方が通りが良いかもしれません。
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みりあ曰く「5分に一回は喧嘩してる」と言われる2人がユニットになったという事に未央はPが何考えてるのか分からないと言い、プロジェクトメンバーの誰もが首をひねります。価値観の違いから事ある毎に対立するバディもので典型的な対立描写です。ですがみくと李衣菜がPに談判しに来た際、適当に余り物を組ませたんじゃないかという訴えに、Pは真剣になって答えます。
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「そんなことはありません。相性の良いユニットだと思います」
例によって結局Pの口から語られることの無かったこの言葉の真意。実は似たもの同士だからという考察は既にあちこちで語られているので、違った切り口で迫ってみるのがこの記事の趣旨です。

・シンデレラプロジェクト、ユニットの狙い
二人の相性について論じる前に、シンデレラプロジェクトの他のユニットについて考察しつつ二人がそこに配置されなかった理由を考えてみます。

まずはソロであるRosenburg Engel。蘭子は独特の価値観を持ち、言動もそれに従っています。さらに彼女の脳裏にはすでにその価値観の結晶とも言えるヴィジョンが結ばれています。
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度々ネタとして扱われる蘭子のグリモワールの絵。確かに人物の表情は顔文字程度ですが、衣装などのディティールは非常に凝っています。厨二病の妄想だとしてもここまでくればクリエイティブです。事実Pは蘭子のヴィジョンに従う形でPVを作りました。Rosenburg Engelは例えばカゲロウプロジェクトのように、個人が構築したオリジナルの世界ごとプロデュースするユニットであり、だからこそソロである必要があったのだと考えます。みくも李衣菜もそれぞれにこだわりは持っていますが、ソロでやるなら蘭子のような固有結界持ちでなくてはアイドルとして勝負にならないでしょう。

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トリオの場合、Pはバランスを重視します。ニュージェネレーションは既にPの口からバランスと語られました。Candy Islandのバランスもチームワークという形で9話で存分に示されています。凸レーションについても窮地を逆転させるほどの可能性が10話で示されました。が、仕切りたがり屋のみくがトリオに入ることはあり得ないでしょう。

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本論から外れますが、凸レーションのバランスについて。普段は莉嘉が最初に動いてみりあがそれについて行き、きらりが後ろから見守る形。莉嘉が動けなくなったときはきらりが前に出て二人を引っ張る。きらりが動けなくなった時はみりあが前に出て導くという感じで誰か誰かが常に先頭に立てるようになってるのかなと。

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また凸とC.I.のCDジャケットを見てみると、それぞれリーダー格にあるきらりとかな子のイメージが据えられている事がわかります。蘭子と同様に独自の価値観をもっているきらりですが、彼女はその価値観をまだ既存のファッションブランドに仮託している状態です。いずれきらりオリジナルの世界観が生まれそうですが、凸のビジュアルコンセプトはPが、きらりの価値観を形にしたものであろうと考えます。かな子の価値観も言動どころか体型にまで出てくるレベルです。C.I.も彼女のふくよかなヴィジュアルに合わせたイメージをPは用意したのだと思います。かな子がダイエットに失敗したからかな子のイメージに寄せた等の可能性は排除します。【PR】第4回選挙はかな子に清き一票をお願いします いずれにしても、自分の価値観にまだ自信を持てない李衣菜では、トリオリーダーとしてロックを押し出すのは無理でしょう。

・ラブライカというデュオユニット
*の考察に入る前に、プロジェクト内のもう一つのデュオユニットであるラブライカについて考えます。ラブライカが何故この新田さんとアナスタシアなのか語られる事は他ユニット同様一切無かったと思います。ただ、ラブライカというユニットのコンセプトについてはそのビジュアルから十分に推し量れます。
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ラブライカのCDジャケットです。その衣装デザインはほとんど同じで唯一違うのが髪飾りの位置。並んでシンメトリーになるようにデザインされた事がうかがえます。そして6話のダンスも、所々でシンメトリーになるようなポーズを取ったりと統一感があります。


随所で語られ、アーニャの演者である上坂さんやMemoriesのコンポーザーであるEstiさんも言及しているように、ラブライカのモデルはWINKです。80年代黄金期を過ぎアイドル冬の時代を迎えつつあった当時、無表情を貫き、同じ衣装で、シンメトリカルなダンスを踊るWINKは大ブレイクを果たしました(ダンスはMMDで再現したこちらがわかりやすいです)。さらに、今思えば彼女達の売りであった神秘性は双子デュオ、ザ・ピーナッツに源流があったように思います。


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以上の事から、ラブライカのコンセプトは「垂れ目で日本人の新田さんと、つり目のスラブ美女アーニャの合一から生まれる神秘性」ではないかと考える次第です。そしてここからみくと李衣菜のデュオユニットのコンセプトは「対比」であると考察を推し進めます。

・ユニット衣装の色彩設計
その論拠となるのはユニットの衣装のデザインです。まずはCandy Islandと凸レーションを見てみます。
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面白いのはC.I.はもっとパステルな淡い色という訳でも無く、凸レーションももっとビビッドのイメージがあるのにそうでもない。色の彩度についてはC.I.も凸もそう変わりません。ただ、色の配置は図で示したように、ユニットのイメージであるきらりとかな子に即したものであるように思えます。このように、ラブライカとアスタリスクについても分析してみます。
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このようにアスタリスクはメンバー2人が対比になっているだけで無く、アスタリスク自体がラブライカの対比となっている事がわかります。さらにここで色彩デザインでは基本となる色相環を見てみます。
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ミクのと李衣菜のは、色相環において反対側に位置する「補色」と呼ばれる間柄です。リンクしたサイトにも書いて有るとおり、補色は隣り合わせるとそれぞれの色がより鮮やかに見え、より目立たせる効果があります。
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ちなみに冒頭で紹介したバディムービーの名作48時間も主人公は「白人と黒人」、タイガー&バニーの2人のスーツ「赤と緑」は補色関係です。このことからみくと李衣菜のデュオも

「みくの主張するキュートな可愛さと、李衣菜の主張するクールなかっこよさを対比、ぶつけ合うことで互いに引き立て合うコンビネーション」

がコンセプトで有ろうと思います。これは既に世界を持っている蘭子には出来ませんし、智絵里のような引っ張られてしまう子はもちろん、例えば計算高く適応力の高い杏でも十分なコンビネーションは望めないでしょう。プロジェクト内では、本気でぶつかり合えるみくと李衣菜しか出来ないコンセプトです。そして動的なアスタリスクは、静的なラブライカとの対比となってプロジェクト全体のバランスにも繋がっている事から、Pが適当に余り物を組ませた訳では決してない事が分かります。プロデューサーの言う「相性」とは、実は似たもの同士などの李衣菜の2人の関係だけを意味したものでなく、ぶつかり合うというユニットコンセプトに対する2人の資質でもあったと考えます。

・みくと李衣菜の48時間
例え2人の個性のケミカルを狙ったにしても、やはり個性がぶつかり合う関係ともなれば空中分解は十分にあり得ます。あの慎重なPの事です、みく達のデビューが最後だったり、CDデビュー前に飴の販促イベントといったようなどさ回りをさせたのは、2人の関係を見極める為でもあったかもしれません。

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みくは人の気持ちを自分のものに出来てしまえる子です。5話のストライキの最中でさえ「みく達だって頑張ってる」と言ってしまえます。なのでカレイの煮付けを作ってしまった李衣菜に言い過ぎたと謝ることも出来ます。ただ、李衣菜は基本がさつで嘘でもミントキャンディを受け取るという気遣いは出来なかったのですが。

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李衣菜は良いと思えるものは良いと素直に言えるかろやかな子です。みくの部屋もロックと言ってしまいますし、8話で蘭子の曲の事もロックと言いますが、彼女にとってロックとは最高の褒め言葉なのでしょう。なので*のかわいい系に寄せた衣装案もロックと褒めることが出来ます。ただ、みくは基本頑固で自分の抱くロック像と違う李衣菜の反応をポリシーがないとディスってしまいますが。

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状況は突然のオファーにより急変します。未央やメンバーはもちろん、当の本人達さえPがこのユニットを組ませた意味が分かりません。同棲を始めてもケンカばかり。基本お気楽な李衣菜と違い真面目なみくです。実際追い詰められていたんだろうと想像します。

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「これでやっぱりダメだって分かったら、李衣菜ちゃんに先にデビューして欲しいの」
夜の電話で李衣菜の気持ちを自分のものにしてしまったみくは、早く家族にもデビューを伝えたい自らの気持ちを李衣菜に重ね合わせているのでしょう。

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「2日で作れば良いんでしょ。作詞と興味あったし」
「興味がある(出来るとは言っていない)」もちろんこの後でみくに責められる事になるのですが、こういう李衣菜の軽さがこの時はみくの背中を押しました。もちろんみくの意気に感じたから出た李衣菜の言葉なのですが、真面目なみくにはたとえ嘘でも言えないでしょう。

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みくの申し入れ、李衣菜が書くと言った歌詞にも、客観的な勝算は全くありません。そもそも急な話です。3話ニュージェネの失敗も頭にちらついたかもしれません。Pは端からオファーを受けるつもりも無かった筈です。この場に及んでも、Pは2人を俯瞰して観察を続けています。そんなPが何故2人に賭けるつもりになったのか。

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それは2人の気持ちが一緒になったからに他なりません。2人の気持ちが一つになって、一つの目標に向かって、困難に立ち向かう。典型的なバディフィルムの展開です。ただPは例えイベントには失敗したとしても、この濃密な48時間を経れば2人がユニットを組ませた真意に気づくかもしれないという可能性を感じたのだろうと思います。少なくともみくは「Pが組ませたくれた意味、今納得しておきたい」と言葉にしています。

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Pはみくと李衣菜の賭けに乗り、結果勝ちました。賭に勝ったのは結果論ではあります。ただこれだけの賭けをしなければ、短期間に性格の全く違う2人が互いに信頼し合うという事も無かったのではないでしょうか。みくと李衣菜の48時間は、2人の通過儀礼であったのかもしれません。

で、いきなりCパートで解散の危機になるわけですが。2人はこれからも仲良くケンカしていくのでしょうね。
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posted by tlo at 21:35| 日記