2015年12月04日

Ready!!とStar!! アニメアイドルマスターとアニメシンデレラガールズオープニング比較1

アニメも終わり3rdライブも終わり、今更感もあるのですが時計の針はまだまだ進むという事なので、個人的に宿題になっていたアニデレアニマスOP比較を済ませようと。twitterで随時つぶやいていた事のまとめでもあります。

歌詞から見るオープニング
アニマス一期OPはReady!!の歌詞を映像に落とし込んだものになっています。その歌詞については以下の通り
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アイマスには「トップアイドルを目指す」というテーマ(ゲームでは目標)があり、冒頭テーマ部歌詞にもそれが歌われています。映像の側もアイドル達が指を突き上げると同時に矢印が上に向かうという上昇志向。Aメロの楽屋の状況描写とおぼしき歌詞に沿って映像はライブ前の舞台裏を見せています。一転して心情描写になるBメロではアイドル達が目標を書き込んだホワイトボードがエモーショナルに。そしてサビにはまさにReady!!という曲を歌っているライブとなります。サビ2小節目はアイドルマスターでは欠かせない存在であるプロデューサーが描写されて、幕。改めて歌詞とアイドルマスターというコンテンツのテーマに沿った素晴らしいオープニングだと思います。

対してアニデレ一期OPの歌詞は以下の通り。
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鳥羽Pが各所でインタビューに答えていますが、アニデレは「普通の女の子がアイドルになる」事をテーマにしています。冒頭テーマ部も運命のドア開けようと歌詞にも歌われている通り、映像側でもドアが開きますが、矢印はReady!!とは違い斜め上。本編で何度も繰り返された「階段と時計」のモチーフがOPもで提示されています。続くAメロ歌詞はReady!!同様ライブ前の状況描写ですが、Ready!!以上に明確な一人称になっています。ここは作品のテーマに沿ったものでしょうが、映像側はReady!!と同様舞台裏の状況、Bメロ心情描写でホワイトボードが映るのも同じ、そしてサビのライブシーンと2小節目のプロデューサーの描写も同様とReady!!とほとんど差はありません。Ready!!を踏襲したのは明らかなのですが、それは「見た目」だけです。それぞれのOPを細かく見ていくと、この二つの映像は別物だったりします。


カメラの位置を検討する
比較の指針としてまず「そのカットを撮影しているカメラの位置」を想定します。実写や3Dアニメならともかく、作画アニメでカメラ位置は意味が無いのでは思われるかもしれませんが、アニデレ第一話を見て分かる通り、少なくとも実写感覚に溢れた雄監督がコンテを描いたStar!!については意味があるはず。という事でまずこちらのカットを見てみます。
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莉嘉とみりあがライブ前にお菓子を食べている様子です。机の高さと莉嘉の体勢から、二人は椅子に座っているように思えます。オープニング中の他のカットに描かれているパイプ椅子に座っていると仮定して、このカットを撮影するのにカメラはどの高さにあるのかを算出します。
・パイプ椅子座高:45cm
>ネットショップ等のカタログ寸法で一番多かった寸法です。
・みりあ座高:76cm
>東京都の10歳児童の平均身長が140.7cmでみりあの身長とほぼ同じなので、平均座高である76cmをそのまま当てはめます。
・撮影距離:30cm
>一般的なレンズの最短撮影距離です。ハンディカムなどの家庭用ビデオカメラでは1cmも可能だそうですが、画面を見ればそこまで接写している様子も無いので30cmとします。

以上から導かれるカメラの高さはおおよそ161cm。この数字から、このような撮影風景が想定できます。
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シンデレラプロジェクトプロデューサーの身長は初期設定で185cm。161cmの高さでカメラを構えるのは容易でしょう。図では椅子はステージ衣装の形状を勘案して回転丸椅子に変えましたが、低くなることはあっても高くなる事はないと思います。そしてAメロの楽屋風景のカットはすべて「Pのアイレベル」で撮られたものと想定できるのです。
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このように、中にはPが屈まなくては撮れないものもありますが極端な俯瞰やあおりのカットはありません。第6話ではステージ脇でラブライカとニュージェネレーションのデビューライブの写真を撮っていたPの姿がありました。このAパートシークエンスも、雄監督はPの記録(ドキュメンタリー)という想定でコンテが描いたのではと思います。

対してReady!!はどうでしょうか。以下のカットのカメラ位置を同様に検討します。
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同じく765では年少組の亜美真美を俯瞰で撮っています。足下までフレームに入っていることから二人のほぼ真上から撮られたものであろうと想定できます。
・亜美真美の身長:158cm
・亜美真美の腕長さ:63.9cm
女性向け雑誌のアンケートによる読者平均身長の結果が丁度158.2cmだったので、同じく結果のでていた平均腕の長さ63.9cmを充てました。
・撮影距離:28cm
>かなり強いパースがついていることから広角レンズであろうと想定。一般的な広角レンズの撮影距離である28cmとします。

もし、Ready!!もStar!!同様765プロプロデューサーの記録であると仮定するとPの身長174cmという設定から、撮影風景はこうなります。
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導かれるカメラの高さは249.9cm。第1話ではカメラを担いで担当となるアイドル達を撮ったPですが、このOPについては撮影が大変そうです。以下のカットについてもカメラ位置を想定すると結構無理な体勢での撮影となり、Ready!!についてはPの記録映像というよりは別の意図が優先されていると考えた方が良さそうです。
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映像の編集にはセオリーがあり、その中の一つに20%のルールというものがあります。詳細はリンク先を見て頂くとして、Ready!!の楽屋風景のシークエンスはカット毎のカメラ位置ががらりと変わります。先の亜美真美のカットも含めたサビ直前の円陣前までのカットを並べてみましょう。
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カメラ位置に非常にメリハリがある事が分かります。被写体が異なる事から正確には20%ルールを当てはめる事は出来ませんが、Star!!のAパートとの違いは明らかです。このことから錦織監督はメリハリを効かせて見ていて飽きない映像の楽しさを優先してコンテを描いたと思われます。

以上、Ready!!とStar!!は構成を見る限りは同じに見えます。ですがAメロから始まる舞台裏シークエンスは、Ready!!では映像作品としての楽しさを、Star!!では実写のリアリティを求めている事が伺え、その内実は別物である事が分かりました。ガイナックスで作画をバリバリ描いてきた錦織監督と、京都アニメーションの演出畑で育った雄監督の個性の違いとも言えますが、Ready!!のエンタテーメント指向とStar!!のリアリティ指向はサビで一変してしまいます。


ライブカメラの位置の検討
まずはStar!!の以下のカットのカメラ位置を想定して下さい。そして先日シンデレラガールズ3rdライブにおいて、このような映像があったか思い出してみて下さい。
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楽屋裏では無かった俯瞰のカット。他のカットの会場の様子から、会場後方上段からの望遠レンズによる撮影が想定されますが、画角の狭くなる望遠レンズで「3人」の「全身」を抜くのは非常に難しいです。もちろんこれを撮れるレンズも探せば存在するでしょうが、ライブビューイングなどでこのような俯瞰カットは見た記憶もありません。
このカットに象徴されますが、Star!!サビのライブシーンではカメラのリアリティが消失します。さらに言えばぴょんぴょんとジャンプしている上下移動をそれが分かりづらい俯瞰で描くのは悪手です。Ready!!ではジャンプシーンはこうなります。
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ステージ後方からの煽り気味のカメラ。アイドルのジャンプの高さがはっきりと分かり、真は見切れまで発生していますが、躍動感溢れるカットです。このカットに象徴されるように、Ready!!はライブシーンになるとエンタテーメントとリアリティが両立し始めます。
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あずささんと貴音がフレームインしてくるカットです。ライブでは演者に立ち位置が指定され、ダンスもその立ち位置に沿うのはご存じの通りです。カメラマンも演者の立ち位置を記憶してライブに臨む訳ですが、このカットはあずささんと貴音のダンスの躍動感だけでなく、あずささんと貴音がここに来ることを狙っていたカメラマンの存在まで匂わせます。
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ついでにですがサビの出だしのこのカット。煽り気味のアングルでステージ前を端から端まで駆け抜けるこのカメラワークはxbox360のコンシュマーゲームのステージシーンに使われ、当時のPはこれを「スーパーロング」と呼んでいました。スペクタクルなこのカメラワークはアイマスMADでも度々使われていましたが、最近ミリオンの2ndライブでこのカメラワークが現実として再現されています。

(このダイジェストでは12:46頃にそれっぽいものがありますが本編ではそのものがあると思われます)

おそらくは錦織監督は「ライブそのものがエンタテーメントであり、ライブをリアリティをもって描けばそれが最高のエンタテーメントになる」と考えたのでは無いかと思われます。一方で雄監督は如何なる意図でライブシーンのコンテを描いたのか。それは第二期のOPの比較から考えたいと思います。
posted by tlo at 22:24| 日記