2010年06月20日

シンクロ概論1

映画というのは現実の再編集が可能で、異なる時代、異なる空間さえもつないで見せてしまう。それは映画に限らず、映像メディアであればすべて可能な事で、ニコマスにおけるダンスMADPVも例外では無い。ダンスMADPVは「異なる映像をシームレスに編集し、同一の場所で時間的にもリニアに行われている事象であるように『思わせる』映像」と定義づけられるであろう。Flash等で作られるモーショングラフィックと根本的に異なる点はここにある。言ってみればダンスMADPVは再編集により創られた、Pが幻視しているであろう世界、なのである。だが、難しいのは『思わせる』という事で、PV系ニコマスPは『思わせる』事に心血を注ぐ。彼らは、その『思わせる』技術を、


『シンクロ』

と呼ぶ。

(ノД`) バテた
(゚Д゚) 早いな
(ノД`) ニコマスの築き上げたシンクロ技術を映像技術史に位置づけようっていう壮大な構想なんだけどね
(゚Д゚) 荷が重すぎたと
(ノД`) それにこれだけ書けば、後は誰か書いてくれるから

また丸投げか ヽ(#゚Д゚)ノ┌┛)`ν゜)・;'. その件はスイマセンでした!

(ノД`) 大工さんに投げて敷居本で出してもらおうかな

反省の色がない ヽ(#゚Д゚)ノ┌┛)`ν゜)・;'. 本当にスイマセンでした!




とりあえず、何がしたかったと言えばこちらの作品の分析でありました。


佐野倉P作品

で、その分析をトーキー以来映画で培われてきた技術体系でもって出来ないかナーと思ったのだけれどムリだったというわけで。後はいつも通りにやっていきます。

使われているダンス
・My Best Friend(MBF)
・THE IDOLM@STER(TIM)
・Here We Go!!(HWG)
・Go My Way!!(GMW)
・私はアイドル(WTI)
・エージェント夜を往く(AGT)
・relations(rel)
・Shiny Smile(SS)
・Do-Dai(DDI)


カット毎使用ダンス
※ダンスの表記は上記の「使われているダンス」の括弧内の淫夢表記略称です
※クローズアップは判別不能の為"CU"として表記します

 イントロ
  CU>MBF>TIM>HWG>TIM>CU>GMY>WTI>MBF>SS>SS>HWG*1
 きらめく朝日〜
  GMW>AGT
 流れるLove song〜
  TIM>TIM
 あなたが褒めて〜
  TIM>rel
 しばらく変えられ〜
  SS>SS>SS
 ずっと前から〜
  DDI>DDI
 そばにいたはずなのに〜
  GMW>GMW
 ハートドキドキ
  SS>SS>SS
 響くのはなぜ?
  HWG>DDI>MBF>TIM>HWG>TIM>HWG>TIM>HWG>HWG
 Every Day〜
  DDI>DDI
 友達のまま〜
  MBF>WTI>SS>HWG>HWG
 Lovery Date〜
  GMW>GMW>GMW>GMW
 神様〜
  GMW>GMW>WTI
 与えてくれますか?
  WTI>WTI>WTI>CU>SS>SS
 アウトロ
  TIM>CU>MBF>MBF>SS>WTI>MBF>AGT>GMW>GMW


編集技法1:カット
カットは編集の基本である以上に、映画の発明でありました。これによって異なる画像をつないで一つの映像に見せるという事が可能になったのです。もっともただつなげばつながって見えるという訳ではなく、視聴者がつながっているように『思う』為にはいろいろな要素があります。ダンスMADPVでも別のダンスをつないでいく為にカットを使うのですが、つながっているように『思わせる』技術が存在します。例えば――



映画のオープニングシークエンスです。登場人物の紹介なのですが、それぞれ動作が「飛んでいる」と思います。これは「ジャンプカット」という技法です。リンク先の説明にも書いてあるとおり繋ぎ方は編集者独特のもので、実際うまく繋げるのは難しいのだそうです。その点で全く別のダンスを繋ぐダンスMADPVはさらに難易度が上がるハズで、佐野倉Pの繋ぎは驚くべきものという事になります。

カット1
snkrp1.png
カット2
snkrp2.png
カット3
snkrp3.png
カット4
snkrp4.png
歌い出しのGMW(カット1,2)からAGT(カット3,4)への繋ぎ。
カット2は手を振り上げる動きでカット3は手を振り下ろす動き。
この「動き」が別々の二つのカットを一つの映像としている。



編集技法2:トランジション
ただそのまま映像を繋げるカットに対し、カットとカットの間に入れる特殊効果をトランジションと言います。このトランジションは映像の接続詞で、その長さや種類によって視聴者の印象は大きく変わります。例えば――


・3:55〜4:00の暗転は「時間の経過」
・4:05のクロスフェードは「場所の移動」
・12:03〜12:05のホワイトアウトは「あずさの回想」
という具合です。
ここでは3A07を例にしましたが、これが一般的なトランジションの使い方だと思います。もっとも「クロスフェード=場所の移動」が絶対の法則というわけでは無いのですが。実際佐ノ倉Pの動画でもクロスフェードを別の使い方しています。

カット5
snkrp5.png
カット6
snkrp6.png

0:46「ハートどきどき」のシークエンス。SSのアップ(カット5)からSSのミドル(カット6)をクロスフェードで繋いでいる。前後で全く同じ振りなので、リアルタイムで流れている時間がここでは実は巻き戻っている事になる。だがそこに違和感はなく、例えば歌番組でよく見る
「カメラの切り替えのスイッチング」
と解釈する事も可能だ。


最もダンスMADPVではトランジションはエフェクトとして使われる場合が多いです。リズムに乗ってホワイトアウトする「おっぺけフラッシュ」はご存じの方が多いと思います。佐野倉Pも0:22「私の今日の気分」で使っています。また0:12の歌い出しで色調が変わる所も、分かりづらいですが(adobeのソフトで言うところの)ディゾルブを使ってシンセの「ピロロ↓」って音に合わせているようです。ダンスだけじゃ捉えられない音を拾うこの辺りの手法はモーショングラフィック的だと思います。

それともう一つ、ダンスMADPVでのトランジションの使われ方としてどうしても合わないモーションの間に入れて違和感を減らすというものがあります。これは上記した心理学的な使い方というよりは、長めのトランジションで前の映像からゆっくりと後の映像に目を慣れさせるという生理学な要素が強いかと思います。
佐野倉Pの作品では0:48「ハートドキドキ」から「響くのはなぜ?」の間がそうかもしれません。ここをフェードで強引に繋いだのは、この「響くのはなぜ」の小節はサビ前であり、ドラムの感じも変わるからだと思われます。恐らくですが、このサビ前のシークエンスは、前後をモーションで繋げて流れるように見せるよりはある程度強引に、短い繋がらない断片的なカットで畳み込むのを選んだ演出的な判断をしたのではないでしょうか。で、このシークエンスに入る前はフェードを使わざるを得なかったのだろうと。


編集技法3:音と映像
映像に音があるのは当たり前なようですが、実は映像に音が付いてまだ100年経ってません。その辺はチヒロPのこちらの記事にも書いてあるのですが、私には現状明確な考えがなかったりします。とりあえず、佐野倉Pのを見ていると「曲の小節が始まる前にカットなりトランジションしてるな」という事。



私が「ごまP入り」と呼んでいる歌い出し。実際歌い始める2秒ぐらい前からカットが始まっていたりします。佐野倉Pの場合も小節の間、分かりやすい所では1:05「友達のままなんてダメ!」のHWG決めカットと「Lovery Date〜」からのGMWをディゾルブで切り変えています。



ちなみに、逆に音が先になるパターンがこちらで、1:00「またねって〜」サビが入ってから1:01でカットが入っています。佐ノ倉Pとqb氏の作品では方向性も真逆なのでその辺りの効果の違いも面白いかなとか。


以上、とりあえず現状考えているのはこんな感じです。
これ以上のことは手を動かしながら、考えていこうかなとか…って一つ締め切りあるのを抱えているのでこの辺で。

*1 ここのターンはあるいは太陽のジェラシーの歌い終わりのターンかも。
posted by tlo at 15:49 | TrackBack(0) | 動画紹介
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