2010年08月12日

おしゃれ泥棒

通称「オサレ合作」以来、ニコマスではおしゃれが一つのキーワードとなった感があります。この合作のコンセプトはモーショングラフィックだったのですが、モーショングラフィックという手法がデザインと切り離せないので自然な流れなのかなと端から見ています。
で、じゃあそのおしゃれってのはなんなのさという所で、いろいろ考える事もあったので記事を書いてみる次第です。方法としてはおしゃれだと思うニコマス動画を紹介しつつ分析。そしてその技を盗むのが目的です<重要

1.画面構成、レイアウト

メイP

メイPの優れている所はメッセージ性とそれを伝えるための画面構成=レイアウトです。

may_p'.png

サムネになったこの画が特徴的です。赤い線は画面を等分した線です。分割した画面に沿って配置されていることが分かります。そしてピンクの線を見て分かる通り、目尻と文字が揃っている事も分かります。自分で見つけた風に書いてますけどピンクの線についてはカズマさんが教えてくれました。流石です!
このサムネには私も見惚れたものですが、考えられたレイアウトだと今になってみれば分かります。巧みなレイアウトというと他にもニコマスにはシラカワPという名手がいて、別ジャンルだと静止画MADの軍魔さんもこの流れの一人ではないかと思います。


軍魔氏

2.配色

うしわかP

色調補正という形で色による差別化は07年から行われていたように思います。が、その特徴的な色が自らのP名を冠せられて命名されたのはうしわかPが初めてでした。いわゆる「うしわカラー」は色をすこしくすませたダルトーンが特徴的でした(合作見ても分かる通り過去形だったりしますが)。この作品については、なぜこのような色になったのかコンセプトがあった事を知ったときには私も仰天したものです。とてもデザイナー的な思考だと思います。
09年はニコマスは色に特徴のあるPが増えました。七夕革命の効果ともいえますし、それに先立つニコニコのH264化やその後のビットレート解放もその方向性を後押ししました。
さて、色を分類する方法として使われているものにマンセルシステムというものがあります。詳しくはリンク先を見て頂くとして、色に特徴のあるPをこの分類に当てはめてみると多分こんな感じです。

mansel_nicomasP.png

彩度や明度。暖色、寒色。補色など色相環に沿った関係…などなど色については本当に難しいのですが、統一感をもたせるのがおしゃれの第一歩かなと。色のコントロールが難しければ使う色を3色とか2色に抑えるのも手っ取り早いです。場合によってモノクロがおしゃれに見えるのもそのためだったりします。

3.構成

つかさP
動画は時間をつかった表現です。ニコマスにおける動画の時間は使われている曲に縛られます。それは尺だけの問題じゃなく、時間による画の変化が曲調により支配される…というかPVはそういうものなのですが。
つかさPは構成の人だと前に記事に書きました。それは物語的な起承転結というだけでなく、画面構成と時間構成が結びついているからでもあります。かっちり作ったレイアウトを時間と共に変化させていき、しっかりと動画を締める。この手腕は歴代のニコマスPでも随一だと思うのです。


しょじょんP
動画の時間構成に物語を伴う必要性は必ずしもありません。VJなどで使われる映像は典型的です。しょじょんPのこの作品は、アストロガールを纏った真が上から降りてくると言うこの画の持つ緊張感を、あえて展開させることなくそのまま最後まで持続させます。そしてこの構成もコンセプチャルなものだったりします。


以上。感覚で語られがちなおしゃれという概念の要素をすくいあげてみた訳ですが、とりあえずは「メッセージなりコンセプトなりの芯に沿って動画がデザイン(計画)されている」という事が言えそうです。これをかりふらPが端的な言葉でtwitterにポストしていたので紹介します。

「余計な事してたらおしゃれじゃない。でも余裕がないとおしゃれじゃない」

つまり全力で踊ったどこかのPはおしゃれじゃないって事ですよね。ええ、分かっています。


以下、上記以外にも私がおしゃれだと思う作品をいくつか。

うにP
展開、画面構成などつかさPの作品に通じる所があると思います。この作品の壁紙も配布されていたのですが、当時は非常に珍しかったです……というか他はえこPぐらいだったような。



親父の味P
この曲の歌詞は普通に聴くと無意味な言葉の羅列なのですが、逆から読んでいくとその意味が分かるようになっています。本当の気持ちを表に見せない伊織にこの曲を合わせた時点で発想の勝利。そしてその発想をひけらかすのでなく、曲に沿った過不足のない演出に徹する上品さが素敵。


アイドルマスター 伊織 [MADPV] sentaku2 PVMix
NDKP
NDKPというとリミックス系の人だと思われますが、リミックス動画に使われている一枚絵を見て分かるとおり、絵作りも巧いのです。この作品もゲーム開始時の選択画面を曲も映像もリミックスするという大がかりな発想を、短い時間で軽く見せてしまっています。



OrgoneP
アピールバグ固定カメラがおしゃれに見えるのは画面のセンターからずれる為で、そのずれ具合がレイアウトの理に適った時に最大限のおしゃれ力を発揮するのだと思います。あと背景のボケとか。同じダンスを同じアングルで繰り返しつつ少しずつ展開させていったり、野外ステージでラフタイムスクールという寒色系でまとめた色彩もおしゃれです。



てぴてP
素材集とかプラグインのプリセットとか使うだけで「それらしくなる」ガジェットがあります。ところが「分かっていない」と、それはとたんにカッコ悪くなってしまいます。この作品はそれぞれの音楽ジャンルに合わせた映像が用意されていますが、それが見事にはまっていてなおかつカオスに陥らずに告知動画としての統一性が保たれています。クラブカルチャーに通じたてぴてPの「分かっている」作品です。



慈風P
暖色系の背景に、アイドルは寒色系にして目立たせる。ただキレイというのでなく、色のコントロールが機能面にまで行き渡っているのが慈風Pのすごい所だと。



獣道を逆走P
おにぎりが転がってくる画が右に奥まっていく構図で、回り寿司の画が左側に奥まっていく構図。アニメパターンを繰り返したり、同じカットを使い回したり。レゴ寿司を出されたののワさんの懊悩シークエンスが洗練されたカット割だったり。全体としての統一感は無いように見えて、もしかしたらPもそこまで考えてなかったのかもしれないですが、おしゃれパーツは揃っているという印象。



機能美P
レイアウト、配色、構成、そして何より、醸し出される軽妙洒脱さ。完成度が高いおしゃれだと思います。


posted by tlo at 15:25 | TrackBack(0) | 動画紹介
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